みちしるべカレンダー10月の書『蘭菊競妍』について書かせて頂き、最後に宝善院にある桔梗の蕾について少し紹介をしました。今朝、その蕾が開いていましたので紹介させて頂きます。
ピンクの入った綺麗な白色の花を咲かせてくれていました。桔梗の花言葉は「永遠の愛」「清楚」「気品」「誠実」「従順」などがあり、紫の桔梗は「気品」・白の桔梗は「清楚」を表すそうです。
桔梗は家紋に使われたり、以前にも書きましたが万葉集にも出てきたりと日本では昔から馴染みの深い日本の花です。万葉集の秋の七草を詠った『秋の野に 咲きたる花を 指(および)折り かき数ふれば 七種の花 萩の花 尾花葛花 撫子の花 女郎花(おみなえし)また藤袴 朝貌(あさがお)の花』に出てきます、『朝貌の花』が桔梗とされています。この『朝貌の花』ですが、「木槿(むくげ)」や「昼顔(ひるがお)」ともされていますが、現在では「桔梗」が有力とされています。辞典でも桔梗とされていることが多いです。
秋の七草ですが、オミナエシ・ススキ・キキョウ・ナデシコ・フジバカマ・クズ・ハギとされています。覚え方は、頭文字の「お好きな服は(オスキナフクハ)」だそうです。春の七草(セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ)は一月に無病息災を願う七草粥(ななくさがゆ)などに使われ食用ですが、秋の七草は食用ではなく鑑賞用です。秋には見る機会が多い桔梗ですが、野生の品種は個体数が減ってきている為に絶滅危惧種に指定されているそうです。
今朝に五枚に分かれた花びらを見ていますと、『一華(いっか)五葉(ごよう)を開く(一華開五葉)』という禅語を思い出しました。この句には対句があり、『結果自然(じねん)に成る(結果自然成)』というものが続きます。『一華五葉を開き 結果自然に成る』となります。
一つの華が美しい五枚の花びらを開け、それがやがておのずから立派な果実を結ぶという意味です。一つの華を開くは、心の華のことを指すと言われています。心の華を咲かせ五枚の花びら(五智)を開けたなら、仏果菩提(悟り)は願わずとも自然に成就するというものです。五智は「大円鏡智(だいえんきょうち)」「平等性智(びょうどうしょうち)」「妙観察智(みょうかんさっち)」「成所作智(じょうしょうさっち)」「法界体性智(ほっかいたいしょうち)」という仏さまの智慧を五つにわけたもののことです。
この禅語は、達磨大師が二祖慧可に法を伝えるにあたり、与えた偈の一部です。これは仏教のことだけではなく、どんな事にも通ずるものだと感じます。一つの事柄を華に例え、それが開くまで努力を続ければ、自然と結果が成る。勉強でもお仕事でも当てはまるものといえます。
桔梗の話から色々と広がったのですが、今年はほんとうに綺麗な花を見せて頂けました。また、来年も美しい花を咲かせてくれる事を願っています。
水子供養と永代供養墓の京都のお寺
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