みちしるべカレンダー二月の書です。
みちしるべカレンダーは黄檗宗青年僧会発行のものです。
これは、禅書の公案集「無門関(むもんかん)』の第一九則に出てくるもので、中国唐代の禅僧である趙州(じょうしゅう)禅師が、師の南泉(なんせん)禅師に「道とはどのようなものですか」と問うたものです。趙州禅師のいう「道」は仏道でいうと、悟りであったり禅の神髄という意味で問われています。これに対し南泉禅師は、今回の禅語である『平常心是道』と答えられました。
この『平常心』ですが、一般的には「びょうじょうしん」とは読まずに「へいじょうしん」と読みます。意味としては、「普段通りに平静な心」です。平常心(へいじょうしん)を保ち、何にもとらわれない心そのもが『道』であるとなります。これも正解ではありますが、この禅問答でいう『平常心(びょうじょうしん)』は、日常ではたらく心のあり方であり、日常の行動、「あるがまま」の日常生活全体を指します。それが、そのまま『道』ということになります。
ただ、「あるがまま」の心・行動が『道』ではあるのですが、何もせずでの「あるがまま」ではなく、何か一つ越えたところでの「あるがまま」ということになります。
2月4日より、中国北京では冬季五輪2022が開催されています。多くの選手に驚きと感動を頂いています。多くの期待を背負い各国の代表として出場し、会場での多くの観客の中で自身の力を十分に出し切ることは想像できないくらい難しいことだと思います。
昨日、平野歩夢選手がスノーボード男子ハーフパイプで見事に金メダルを獲得されました。三大会出場し、やっとの思いで獲得できた金メダル、スケートボードとの二刀流、ほんとうに素晴らしい選手です。その平野選手が、金メダル獲得後に興奮が冷め止まない中で心境を聞かれ、「ちょっと2本目の点数は納得いってなくて、そういう怒りが自分の気持ちの中でうまく最後、表現できたというか。良かったです。(逆転した3本目は)緊張とかではなくて。ちょっといつもとはまた違う気持ちというか。思い切って、全て出し切る気持ちがやっぱり、かなり集中していて入ったと思うので。それがうまく最後、クリーンに完璧に決められたのは良かったですね。」と話されていました。
平野選手の「ありのまま」の心・行動が、まさに『平常心(びょうじょうしん)』といえます。「平常心(へいじょうしん)」を保とうというのでは無く、乱れてしまった心を無くし平穏な心を得ようとしない、それがそのまま『道』となるということです。平野選手の心と行動は、まさに『平常心是道』だったんだなと感じました。
『平常心(びょうじょうしん)』を中心に今回の禅語の話をしてきましたが、「平常心(へいじょうしん)」も大切にお願い致します。ひとつの思いにかたよらないように。
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